パリ17区にあるモンソー公園のあたりといえば言わずと知れた高級住宅街。その昔、モンソー公園はブルジョワたちのお散歩コースだったといいます。トルコ系ユダヤ人銀行家であったモイズ・ド・カモンド伯爵がこのモンソー通りに邸宅を構えたのは19世紀の終わり。今では当時の貴族の生活をそのままに伝える貴重な建築として一般に公開されています。
18世紀の芸術をこよなく愛したカモンド伯爵は偉大な美術コレクターでもありました。両親の死後に邸宅を受けつぐと、建物を一旦解体し、自らの美術コレクションのために新しく邸宅を建て直させます。友人を招いては選りすぐりの調度品や美術品を配したいくつもの豪華な応接間に案内し、ひとつひとつの作品について解説をしてまわったといいます。


そんな美術品を見て回るだけでも素晴らしいのですが、この美術館の魅力はそれだけではありません。キッチンやバスルーム、居間といった当時の居住空間を見学できるのがポイント。1階には大きなガス台、丸焼きができるオーブン、いくつもの鍋やお菓子の型などが置かれた総タイル張りのキッチンが。キッチンの横にあるハッチの向こうには使用人たちの可愛らしい食卓も再現されています。そして現在は使用されていませんが、外から見学できるエレガントなエレベーターを眺め、豪華な階段で上階へ。2階は趣向の違ういくつもの応接間とダイニング、食器コレクションの戸棚部屋のあるいわばお客様用のスペース。さらに上階へ進んで居住スペースになっていた3階へ。晩年のカモンド伯爵が書き物をしたり本を呼んだり、長椅子でゴロリとしたりして過ごしたという青のサロン、モンソー公園を望む図書室、寝室や上品で機能的なバスルームなどが見学できます。


20世紀初頭に暮らしたブルジョワの暮らしの表と裏を体感できるのがとても印象的。それぞれの美術品の説明やカモンド伯爵の暮らしについて詳しく説明してくれる日本語音声ガイドも無料でレンタルできるのでぜひ利用してみてください。
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