19世紀フランス・ロマン主義を代表する画家ウジェーヌ・ドラクロワ。ルーブル美術館に所蔵されている代表作“民衆を導く自由の女神”はあまりにも有名ですよね。フランス7月革命を描いたこの作品はドラクロワの肖像とともに旧フラン紙幣のモチーフにもなっていて、フランス人にとっては革命の象徴として国民から愛され続けています。
彼が生涯最後の住居兼アトリエとして過ごしたサンジェルマンのアパルトマンは現在「ドラクロワ美術館」として公開されています。サンジェルマン・デ・プレ教会の裏手フルスタンベール通りの6番地。見過ごしてしまいそうにひっそりと佇む建物の入り口を入り、中庭に面したドアから階段を上がった2階が彼のアパルトマンでした。《私の住まいは本当に魅力的である・・・私の小さな庭からの眺めと心地よいアトリエはいつも私に喜びをもたらしてくれる》と自身が語るお気に入りの空間だったようです。1932年、アトリエ解体が決まりますが、画家のモーリス・ドニとポール・シニャックによるドラクロワ友の会の尽力により、その危機をなんとか食い止め、彼のコレクションを国に譲渡することで1971年に国立美術館としてオープンしたのです。住居部分の居間、寝室、図書室、そして外の階段を下りたところにあるアトリエが展示室として改装されています。


この美術館にはルーブル美術館にあるような大作はありませんが、多くのデッサンや自筆の手帳、彼が実際に使っていたパレットなども展示されています。また、アトリエではカレン・B・コーエンのドラクロワ・コレクションを紹介する企画展が2010年5月まで開催されています。“民衆を導く自由の女神”のような重い作風をイメージしがちなドラクロワですが、ここでは柔らかな色彩のパステル画や政府外交使節の記録画家として随行したモロッコ旅行でのデッサンや絵画などさまざまな作品に出会えます。彼が暮らした空気に触れながらドラクロワの素顔に触れることのできるおすすめの美術館です。
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