パリにもやっと陽光が射す季節になってきた。木々の間から漏れる光は力強く明るさを増しているようだ。フランスに来る前は、雑誌などで春先にビキニ姿の女性が日光浴をしている姿を見てびっくりしたものだった。寒いんじゃないだろうかとか、はしたないなどと思ったこともある。厚い雲に覆われ、太陽の光も弱弱しく、気持ちまで暗くなりそうな長い冬が終わり、明るい光がサッと射せばヨーロッパの女性ならずとも、上着を脱いで公園の芝生に横たわりたくなる気持ちが最近判るようになってきた。これは単純に人間としての自然の行動だったのだと今更気付いた。
街並みも、4月になれば今までの枯れた木のイメージはどこかに行ってしまったのか、緑で一杯になる。既に、早いところでは木に若芽が沢山連なり、もう少ししたら「咲くぞ!」とばかりにスタートラインに立っているようだ。フランスの緑は色が違う、本当に鮮やか!春が来たことがはっきり分かる色だ。楽しい季節になってきた。

さて。フランス風刺とか、エスプリの聞いた皮肉とか言い方はいろいろあるが、フランス人の頭の回転の速さは、とにかくすごい。今月は「電光石火」をテーマにしてみたので、昔経験したとある話をご紹介しようと思う。
車のブレーキの効きが悪くなったので、部品を買いに行った時の話である。35年以上前の話だが、余りにも強烈な印象で今でも忘れることが出来ない。不幸にも、ブレーキの部品は品切れだった。「いつ入荷予定ですか?」たどたどしいフランス語で尋ねてみた。「ジュヌセパ!(知らない)」私の顔を見るわけでも無く、そっけない返事だ。日本人のカルチャーからすれば、お客に対して許せない態度。「私はお客だろう!」と言い返した。フランス人の頭のすごさはここからにある。「なぜ客だ?売るものが無いなら客ではない!」と怒鳴りつけられた。こんなことがあって良いのだろうか…。理論的にはそうではあるが、その扱いは無いだろう。10万分の1秒、電光石火でこのような返事が出てくるフランス人の頭の回転の速さ(?)の、すごさを見せ付けられた。ぐうの音も出ず引き下がったが、同じような経験は今まで多数ある。最近でこそ、世代交代のせいか、若い店員からはこのような扱いはなくなってきた。しかし、買い物の為に店に入り、店員が知らんふりしていたり、話しかけても返事もしないという体験は山ほどある。日本人だからといって侮辱するなと言いたくなるが、フランス人も同じ経験をしている。ある人に言わせると、店員にとって"お客"はわずらわしい存在なんだそうだ…。これも一種の異カルチャー体験、と思い切れれば面白い光景なのかもしれないが…。
そんな毎日頭に来ることばかりのフランス生活。しかし、これらはパリの特殊事情かも知れなません。是非一度、田舎を訪れてみてください。気持ちの良い、親切なフランス人で一杯です!パリは世界中から人種が集まってきている、コスモポリタンな都市。毎日忙しい時間を過ごしているパリジャン達の態度は、フランスを代表していないかもしれない…と思うのです。やはり、気持ちが良いのは、田舎!次回のフランス旅行は、ちょっと日程と足を伸ばして田舎を旅行されてはいかがですか?フランスの良さが満喫できますよ! (2009年3月/発行人) |